R6公開保育・施設関係者評価について

令和6年11月12日(火)に施設関係者評価を兼ねた公開保育を実施いたしました。

公開保育はかねてよりご指導いただいています白百合女子大学准教授の椎橋げんき先生にご指導をいただきながら実施いたしました。

白百合女子大学 椎橋 げんき 准教授

専門分野は「教科教育学(美術科)」、「芸術学(美術、日本画)」、「領域表現(造形)」
全国各園にて保育における造形分野のご指導をされている中、2015年より川島こども園でもご指導、ご助言をいただいている。

今年度は、『子供たちが生活する姿をもとにした環境づくりの工夫』という共通の課題をもって保育のありかたや環境づくりについて取り組んでまいりました。

公開保育当日は椎橋先生と園の職員以外に、(認)川島こども園理事1名、評議員1名、近隣園の川島保育園、市内の保育園2園からも3名、保護者会より会長さんをはじめ3名の計9名の皆様にお越しいただき、保育参観と協議会を行いました。


公開保育の様子

ご参加いただいた皆様に0歳から5歳児全ての保育室における子どもたちの生活の様子をご覧いただきました。

協議(関係者評価)

協議会について
計9つの保育室での活動を順番にご協議いただきました。
(0~2歳児は学齢ごとに3つの保育室、年少児・年中児は学齢ごとに2クラスずつ、年長児は2クラスまとめて)
公開保育をご覧いただいた皆様による一部ご意見を抜粋して掲載いたします。
全文は下部の「+」の部分を開きますとご覧いただけます。

①0歳児

市内の主幹保育教諭A

プチプチシートなど「痛い」とか「つめたい」という感じるような様々な素材に触れられる環境というところがいいなと思いました。
先生たちがチャレンジした様子が見られました。日々少しずつ子どもたちの様子を見ながら場を設定していくことで、自分たちの環境に対して対応しようとする態度が育まれているなと感じました。

げんき先生


<市内こども園Aの主幹保育教諭A>
プチプチシートなど「痛い」とか「つめたい」という感じるような様々な素材に触れられる環境というところがいいなと思いました。大きい子たちと違い、こういった素材の前で一度立ち止まる姿に、新しい感覚へのとまどいがあって年齢に合わせた環境なんだなと感じました。何回も繰り返してやりたいと思える環境もいいなと思いました。

<椎橋げんき先生>
安全性を壊しているのがよかったです。先生たちがチャレンジした様子が見られました。
一昨年度は奥のマットの部分で遊んでいるところで遊んでました。「子供たちにやってほしくないことが、子どもたちにとってやってみたいこと」というところからスタートして、昨年度は扉を開けて遊ぶことになりました。今年度はさらに足元に色んな素材を配置していました。1歳児クラスのほんの少しの段差でもめている園を見たことがありましたが、危ないから取り除くのではなく、危ないから対応しようとしている姿も大切なことです。先生たちが気付きだすと、自分たちの環境に対してどのように対応していくのか。攻めているなと思いました。他の園であれば転んだり頭を打ったり、口を切ったりすることも考えられますが、日々少しずつ子どもたちの様子を見ながら場を設定していくことで、自分たちの環境に対して対応しようとする態度が育まれているなと感じました。

②1歳児

保護者会B

ダンボールを振り回している子がいたことが気になりました。角はつぶれていたのでけがをする子はいないとは思うが、心配だなとも思いました。
安全性も第一で考えながらも、どうして振り回したいのか、どのように振り回したいのか、一度子供の気持ちに寄り添ってからの対応をしていく必要がありますね。

げんき先生


<川島保育園主幹保育教諭>
色んな形の段ボールが置いてあって、運ぶ子もいれば押しながら引きずる子もいて、ひなたぼっこのように寝転がっているこもいました。近づくと「はいどうぞ」と渡してくれる子も。それを戻すとまた違う人に「はいどうぞ」と渡すなどしてやりとりを楽しんでいる様子がありました。重くはないけれど、大きいものを持ち上げてみようとする挑戦心が満たされる環境がいいなと思いました。

<副園長>
気になった点はございますか?

<保護者会C>
ダンボールを振り回している子がいたことが気になりました。角はつぶれていたのでけがをする子はいないとは思うが、心配だなとも思いました。先生がその場所についてはいるので大丈夫かなとは思いますが…。

<椎橋げんき先生>
0歳は保育者とのかかわりを通して物と関わろうとします。共感してくれる人がいないと、その遊びは5分と持ちません。素材を触っているときに先生が話しかけてくれるから、この素材を触りたくなります。そうしているうちに素材に触ることはおもしろいということに気付いていきます。その流れを1歳児がうけて、素材以外にも自分以外にも子供がいるということに気付けるということが1歳児の中での遊びこむということだと考えます。自分のやったことを保育者と共有できるということで、その遊びを深めていくということが今日の1歳児の中で見られたなと思いました。
振り回すということは安全性として考慮する必要があることです。振り回しそうなぎりぎりのところで、保育者が間に立つということが大切になってきます。ただ、できないないようにしようということは違う。そういうときには「なぜふりまわしたいと思っているのか」に立ち返ってあげる必要があります。それが布だったら振り回すのかな?とか。おそらくあの形状だからやってみたくなるのだと思います。ですので、やっても大丈夫な場所を確保してあげたりだとか、軌道上に先生が立ってあげたりするとかすることが大切だと思います。やってみることは大切です。これを禁止事項にすると例えば都内で公園でキャッチボールを禁止したことにより投げる能力が減っているといったことが同じように起きてしまいます。
安全性も第一で考えながらも、どうして振り回したいのか、どのように振り回したいのか、一度子供の気持ちに寄り添ってからの対応が必要ではないでしょうか。何でもかんでも止めがちな保育業界において、これらを踏まえながら保育にあたっていく必要があると思います。

③2歳児

市内こども園園長先生

保育者としては製作の素材としてとらえがちな紙コップを遊びの素材にするということと、段ボールを使って高低差を使っていくということで、ある子にとっては遊びこんでいる様子も見られましたし、ある子にとっては飽きてつぶしている子も見られました。危険がないという点については良かったかなと思いましたが、これをどのように発展させていけるのかなと思いました。
発展について考えると、素材は紙コップに限らず、遊びこんでいけば限界があります。どうすればいいかというと、別の遊びをすることです。別の遊びをする中で、「重ねるのが楽しい」とかか「並べるのが楽しい」という経験をしたときに、「ああ、そういえば紙コップって重ねると高く積み上げられるかもしれないな」ということに気付く瞬間があるはずです。そうするとまた紙コップでやってみようという気持ちになります。

げんき先生


<副園長>
2歳児は子供たち同士のかかわりをどのように育んでいくかと言うことを課題として取り組んできました。その点についていかがでしたでしょうか?

<市内こども園園長>
保育者としては製作の素材としてとらえがちな紙コップを遊びの素材にするということと、段ボールを使って高低差を使っていくということで、ある子にとっては遊びこんでいる様子も見られましたし、ある子にとっては飽きてつぶしている子も見られました。
危険がないという点については良かったかなと思いましたが、これをどのように発展させていけるかということについては課題ですよね。

<評議員>
最後の部分しか見られなかったのですが、一生懸命片付けていること、それを壊している子がいました。紙コップを片付ける装置があって遊びの中で自然に片付いていて、そうすると壊している子も先生に渡すようになりました。先生の大きな声も聞こえないでお片づけできていることがよかったと思います。

<椎橋げんき先生>
2歳児さんの発達を考えていく中で他児とのかかわりがとても大切になってきます。遊びを通じて点在している思いの共有に子供たちが気づいていくことが大切だなと思っています。思いがばっちり重なることはあまりなくて、けっこうクロスすることがあります。なんとなく行って何となく離れていくものです。たまに一致して顔を見合わせることはあるんだけど、思いは全然違うところに行っていて「その一瞬交わる瞬間がいいよね」ということの積み重ねが3,4、5歳に結びついていくんじゃないかなと思います。その中で紙コップという素材が、ある程度量も確保できるし、同じ形状の物だし、いろいろな遊びが考えられるということが1つあります。壊しているということも、量をたくさん用意するという子とは壊すことは容認している。私が他の園に行くときには1万個ぐらい用意しています。なぜかというと壊せるものなら全部壊してみてほしいし、むしろ壊すことは大切だと思っています。例えば段ボール遊びは遊びつくすと壊れます。そして壊れると平面になります。逆に言うと、平面を組み立てると立体になります。壊すから気付けることがたくさんあります。これも大事なことではないでしょうか。子どもが乗ったぐらいだと紙コップは重ねると元の形に戻ります。そこまで意識せずに子供たちがどう遊びたいのかも含めてやってみるといいと思います。
他の面としては素材の理解をしていくことも大切かなと思います。紙コップを紙コップとして使う子、一方で転がす子、その両方の遊びが展開されていまました。3、4、5で製作として使う時には紙コップとして使うのか、それを切って全然別の物にするのかで、素材の生かし方が変わります。「これって工夫すると別の物になるよね」ということが作る上で大事な経験(知識)になります。遊びの中で紙コップの中にジュースみたいな物を入れたと見立てて遊ぶこともできるし、重ねることもできるし転がすこともできる。いわゆる日常では怒られるであろうお茶が入っているものを「バンッ」っとすることもある。それを遊びの中では保障されるということは大切なことだと思います。発展について考えると、素材は紙コップに限らず、遊びこんでいけば限界があります。頭打ちになります。それではどうすればいいかというと、別の遊びをすることです。別の遊びをする中で、「重ねるのが楽しい」とかか「並べるのが楽しい」という経験をしたときに、「ああ、そういえば紙コップって重ねると高く積み上げられるかもしれないな」ということに気付く瞬間があるはずです。そうするとまた紙コップでやってみようという気持ちになります。一度別の素材での遊びを挟むことで、新しい発想やかかわりが生まれるのではないでしょうか。
今日のように片付けも遊びになるようにするといいですね。重ねてくれたら「ありがとね」といって受け取るなど、没頭しながら進めていくことも大切です。自然に片付いてくると気持ちいという気持ちに繋がっていくといいですね。

④(年少児)3歳児1組

市内こども園B主幹保育教諭

見えない壁じゃないけれどそれぞれの場所で没頭して遊べていることがよかったです。
安心して遊べる空間があるということそのものが、その子にとって必要なことです。この空間にいることは苦痛ではないということがいいことだと思いました。

げんき先生


<市内こども園B主幹保育教諭>
お店屋さんとお家と制作スペースで構成されていました。入った瞬間に案内してくれた子がいて、引き込まれてしまいました。看板には子どもの字で「とりせん」と書いてあって、馴染んでいる文字を子供たちが描いたんだなと思いました。お店では、ドーナツやカップケーキが売られていました。製作ペースでは制作スペースにはハサミがあったので、そこには先生がついていて安全が担保されていました。製作スペースから「ナスができたよ」という声が聞こえるとお店屋さんの子がナスを取りに行っている様子がありました。お家の中ではお家の中で病気をしている子を看病しているところ、調理をしているところに分かれていました。見えない壁じゃないけれどそれぞれの場所で没頭して遊べていることがよかったです。机の上には焼きそばがあってこれはどうしたの?と聞くと「お店で買ってきたんだよ」と教えてくれました。3か所に分かれて遊んでいるようでも、つながって遊んでいる姿が見られてよかったです。

車を行ったり来たりさせている子がいたところが気になりました。パーキングがあるのですが、そこに停めずに好きなところに行っているようでした。その子が車で遊んでいる中で他の子とどのように繋がっていくのだろうなと思いました。

<椎橋げんき先生>
他者とのかかわりは、3歳ぐらいになるととても増えていきます。自分がやりたいことに大人は沿って合わせてくれますが、子ども同士ではそうはいきません。年少児さんにとって、その思いが重なってこないことに気付いてどうしようか考えて次の行動を共有していくことが大切なことです。全てのところで遊びこむことができているということは、裏を返すと誰かと関われる環境をしっかりと作ってあげていることが大事なことです。車の子にとっては安心して遊べる空間があるということそのものが、その子にとって必要なことです。この空間にいることは苦痛ではないということがいいことだと思いました。心地よい空間では何もしなくても友達と関わるようになっていくものです。そのうち手持ちぶさたになってくると、何かを作るようになります。年少児は遊びこむことで思いが表現できてくる時期です。わりとこうしたいということが実現します。それに大人が十分付き合ってきたことが出ていたことが今日の保育室では感じられました。担任の先生たちはお花紙を4月から11月までずっと使うと思わなかったと言っていました。保育者はすぐ発展させようとすしがちです。しかし、大事なのは繰り返すことです。繰り返して遊ぶことによって目的を持った時に用具化していきます。例えば霧吹き。何も経験のない園の子供たちにいきなり霧吹きを導入したら「わー!!!」となってお祭り騒ぎになってしまいます。川島こども園の年少児は「わー」と使うのは通り過ぎて、あれを落ち着いて使っていました。こう使うと便利だよねというところまで行きついているということですよね。4月からの流れがここで繋がったというのを感じられました。

⑤(年少児)3歳児2組

保護者会A

奥の方にレンジがあって、それを押すとピーピーなってすごいねと子供たちとお話ししました。タイマーもべりべりととれるようになっていました。取り外しができるのもよく考えられているなと思いました。
このクラスはレンジとかトング(といったおもちゃ)は使用していますが、それ以外の食べ物は全て自分たちで作っています。おもちゃをどのように抜くかというのも教育的な時間には必要だと思います。

げんき先生


<保護者会A>
奥の方にレンジがあって、それを押すとピーピーなってすごいねと子供たちとお話ししました。タイマーもべりべりととれるようになっていました。取り外しができるのもよく考えられているなと思いました。

<副園長>
何度も壊れて今の形になっている。物を入れてタイマーを鳴らして物を入れ替えてタイマーを鳴らしてということを何度も繰り返して、そのたびに段ボールのレンジが壊れて。また先生が作り直して…。それを繰り返していくうちにレンジとして使うようになっていきました。

<椎橋げんき先生>
先ほど年少児(もも)1組の際にお花紙のお話をしてしまいましたね。あらためましてお花紙という素材は水でぬらせばカチカチになります。今回は段ボールに付けるためにのりを混ぜていました。ピザっぽくやるためにやっているので普段は水だけで固めています。

私は幼児教育施設においておもちゃの存在を見直した方がいいと思ってます。もちろん目的をもって、おもちゃをおもちゃとして使わないならば良いと思います。おもちゃは使い方があるのでそこからはみ出せないものです。例えばレゴをボンドで止めるのはだめですよね。つまり創造性を欠いてしまうのです。

お花紙はいろいろに使うことができます。このクラスはレンジとかトング(といったおもちゃ)は使用していますが、それ以外の食べ物は全て自分たちで作っています。おもちゃをどのように抜くかというのも教育的な時間には必要だと思います。もちろん11時間を過ごしていく中で、朝夕の家庭的に過ごしていく時間についてはおもちゃを使用したい子が使用できるようにするのはいいと思います。

⑥(年中児)4歳児1組

保護者会A

入口からチケット売り場が用意されていて、中にはコーヒーカップとジェットコースターがありました。担任の先生に聞いたところ、当初はその2つが混在していて危ないので子供たちに解決策を聞きながら進めていくと線路を引くことになったそうです。線路をしいたことで場所のすみわけができていました。他にもフードコートがありました。遊園地をよく観察する中で、その中でそれぞれがやりたいことをしていました。
1組の方ではトラブルを想定していたけれど今日は起きませんでした。こういうところが子どもの面白いところで、こういう(公開のような)日に一致団結するんですよね。なぜかというとこの遊びの芯を分かっているんですよ。

げんき先生


<副園長>
年中児(うめ1組)さんはいかがしたか?

<保護者会B>
入口からチケット売り場が用意されていて、中にはコーヒーカップとジェットコースターがありました。担任の先生に聞いたところ、当初はその2つが混在していて危ないので子供たちに解決策を聞きながら進めていくと線路を引くことになったそうです。線路をしいたことで場所のすみわけができていました。他にもフードコートがありました。遊園地をよく観察する中で、その中でそれぞれがやりたいことをしていました。3歳児からお花紙などで作ってきた経験が積みあがって作ろうとしたら作れるということをベースにやりたいことをやっていて成長を感じました。

<椎橋げんき先生>
1組の方ではトラブルを想定していたけれど今日は起きませんでした。こういうところが子どもの面白いところで、こういう(公開のような)日に一致団結するんですよね。なぜかというとこの遊びの芯を分かっているんですよ。でも普段はやってみたいことがあるとどんどん出てくるのでずれていってしまう。そのためにトラブルが起きる。でも遊びの芯は分かっているから見てもらってうれしい!お客さんが来てくれて嬉しいというあふれ出る思いの日にはトラブルがなく遊ぶことができる。今回は遊びこんでいるからこそ起きるこういうところが面白いところだと思いました。

⑦(年中児)4歳児2組

理事

レジを「ぴっぴっ」てやるんですよね。今の時代のレジですよね。促されてやっているのではなく、子供たちで考えてやってる。レシートも洗濯ばさみで止めていましたね。
レジって本物を見に行くとリアルを追求しすぎてしまう。こういう部分について私はもっとファンタジーを追求してもいいと思っています。もちろんファンタジーには現実的な扉がないと絶対に開かないので、実体験をみんなで共有することが必要です。その先には子供たちの面白い世界に行ってほしいなと思います。

げんき先生


<副園長>
(年中児のもう1つのクラスの)うめ2組さんはいかがでしたでしょうか?

<保護者会C>
シャトレーゼさんに行ってからショーケースに入れるとか、ケーキを外に出しっぱなしだと暖かくなってしまって食べるときにおいしくないよねというお話になって冷蔵庫に入れるようになっていました。私の息子はレジをやっていました。

<理事>
レシートまで作られていましたね。

<副園長>
カード払いなんですよね。

<理事>
「ぴっぴっ」てやるんですよね。今の時代のレジですよね。促されてやっているのではなく、子供たちで考えてやってる。レシートも洗濯ばさみで止めていましたね。

<評議員>
本物のお店を見学したという強みだなと思いました。ケーキは手で触らないでトングで取るのですね。注文が入ってからトングで取り出している。手づかみかと思ったらトングで一生懸命とっているんです。見に行ったというのは強みですよね。

<副園長>
シャトレーゼんさん側も初めての試みだったようです。かなりおもてなしをしてくださいました。子供たちがケーキを買っていないのにもかかわらず、注文を受けたら手袋をしてケースからトングで出して、お盆に乗せて、箱に詰めている間に箱に挟める番号札を付けて、同じ番号の札をお客さんに渡して、番号札と引き換えに商品をお渡しする。もちろん会計がその間に入って。その一連の流れを準備の仕方を見せてくれたんです。箱菓子については、リボンかけもやらせてくれました。そのリボンかけもお部屋でゴムを使って同じようにやっていました。

<評議員>
子供たちがいきいきとやっていてすごいなと思った。

<副園長>
お部屋では温かくなっておいしくなくなっちゃうから冷蔵庫に入れようとなったものの、冷蔵庫にケーキを入れたら見えなくなっちゃうから売れない。でも子供たちの中では自分の頭の中にケーキのイメージがあるので、何で売れないか分からない。今回見に行ったことで、冷蔵庫がショーケースになっていて見えるようになっていることに気付いて、「ショーケースの中からご覧ください」というようになったことが大きかったようですよ。

<評議員>
ビニールが貼ってあってそれがショーケースになっていて子供たちも「ショーケース」と言っていました。

<理事>
「ガラスなんだよ。」「割れるからね」って子供たちに教えてもらいました。きっと触って確認して、お部屋にあったファイルを使ったら透明になるって思ったんでしょうね。

<椎橋げんき先生>
1,2組とも年中児の姿についてまとめてお話しさせていただきます。
子供たち同士の関りというのは年少児から続います。年中児になると自己表現を尊重しつつも、中期から友達との関りから自分とは違う視点に気付いていって、友達同士のトラブルは起きるんですけど、新しい視点として楽しむということが見られてきます。一緒も楽しい、だけど違いも面白いということかな。他者と関わる姿ががとても顕著になってきて、(お客さんを迎え入れたときのような)あふれる思いが湧き出してくる。だからこそトラブルも起きるんですけど。

年中に(うめ)2組さんは、やりたいことをやっているからこそだと思いますが、僕がドーナツを買ったら放っておかれました笑
「これどうすればいい?」と聞いたら「置いておいて」と言われちゃって。そこはいいんだとなりました。こういう凸凹さが面白いなと思いました。ここで気を付けなくてはいけないのは、レジって本物を見に行くとリアルを追求しすぎてしまう。こういう部分について私はもっとファンタジーを追求してもいいと思っています。「どんなレジだったらおもしろい?」ということを子どもに問いてみる。年中児はファンタジーが通用する最後の時期なんですよね。5歳になるとよりリアルを求める方向にいきます。それが楽しくなってくる時期です。ですので、4歳は夢を語ることも大事だし、経験したことも大事。それを通して自分たちはどんな風にやっていきたいかな?というのを問いかけてみるのも保育の中では大切。まだ未完成だと聞いているので、ぜひみんなだったらどんなレジがいいと思う?と聞いてみてほしいなと思いました。もしかしたらカード以上の発想が出てくるかもしれないですよね。大人はどうやったら現実的にできるのかを考えます。でも子供たちはどんなレジが面白いかという点で考えます。そのあたりのバランスですよね。もちろんファンタジーには現実的な扉がないと絶対に開かないので、実体験をみんなで共有することが必要です。その先には子供たちの面白い世界に行ってほしいなと思います。

⑧(年長児)5歳児1組

副園長

もう少しぐちゃっとしたかったのだけれど、どうしても1つの遊びになってしまいました。担任とも、もっと別の遊びが生まれてもいいんじゃないかとあの手この手を考えながら進めていきましたが子供たちも1つのことをみんなでやりたいという気持ちがありまして。

⑨(年長児)5歳児2組

川島保育園保育教諭

子供たちからもうちょっと本物っぽいのがいいよねということで紙粘土に水を加えて、本物同様に絞り機で絞って作っていくことになったそうです。適度な柔らかさにならずに、もうちょっと水を加えてみようなど子供たちと話し合いながら作っていました。絞り出したのをみると適度な柔らかさになっていて、満足そうな顔をしていたのが印象的でした。

4歳児クラスの流れから、より友達との関わりを深めていく中で、中期には友達の単位をクラスの単位として、同じ目的を持ちつつ自分の自己発揮できることに挑戦するところに差し掛かっていたのかなと感じました。また、うまくまとまっているように見えてきたときに、どこかで先生たちが入っていって何かをすることで、「先生がそういうことできるんだったら僕たちはこういうことをする」ということで。「先生がこれをやってくれるんだったらお願いします」というような、先生を越えられない状態ではなくて、先生を越えてくる状態に子供たちが来たんじゃないかなというのが下地としてできてきたんじゃないかなと思う。ここを目標に川島こども園さんと一緒にやってきたところです。0歳からここまで積み重なってきて今この位置にいる。「協働」とはというところに差し掛かってきているので、どのタイミングで大人が関わっていくことがいいのか今手探りのところなのだと思うんです。

げんき先生

<副園長>
もう少しぐちゃっとしたかったのだけれど、どうしても1つの遊びになってしまいました。担任とも、もっと別の遊びが生まれてもいいんじゃないかとあの手この手を考えながら進めていきましたが子供たちも1つのことをみんなでやりたいという気持ちがありまして。

<理事>
これまでと比べると整然としているというか、きれいすぎちゃったようにも感じました。

<副園長>
差し込んでいく素材が適切だったのか、子供たちの年齢に応じた活動としてふさわしかったのか、ここで問われたんだろうなと思って見ていました。皆様いかがでしたでしょうか?

<川島保育園主幹保育教諭>
(年長児)たけ2組のクレープを特定の子どもと作っていました。クレープの生クリームを最初はお花紙で作っていたと担任の先生がお話ししてくださいました。子供たちからもうちょっと本物っぽいのがいいよねということで紙粘土に水を加えて、本物同様に絞り機で絞って作っていくことになったそうです。適度な柔らかさにならずに、もうちょっと水を加えてみようなど子供たちと話し合いながら作っていました。絞り出したのをみると適度な柔らかさになっていて、満足そうな顔をしていたのが印象的でした。

(年長児)たけ1組ではたこやきと焼きそばを作っていました。たけ2組の焼きそばはかごに入っている毛糸を一生懸命切っていました。副園長先生と一緒に見ているときにずっと(毛糸を)切って(やきそばを作って)いるけれど、これがどのような形になっていくかなという話をしました。

<評議員>
どう発展していくかという話もありましたが、今回公開保育を見ている中で、いろいろな素材が出ている中で、このクラスだけクレープを作るのにフェルトを使っているのが気になっていました。あのようなものは子供たちの発想から出てきたものなんですか?

<副園長>
最初はクラフト紙や折り紙を使っていたようです。そこから「違うね」ということになったようです。そこから担任が似ている素材としてフェルトを用意して今日にいたるようです。布を使って、遊びこんでいく中で発見できるとよかったと思っています。もちろん大人が素材を用意しておくことは必要だと思います。クラフト紙しかり昨今新聞紙も与えなければ出てこない素材ですよね。ただ、この年齢の子たちにこのタイミングでフェルトを出したことがよかったかどうかは検討していく必要があるかなと思いました。

<評議員>
年長さんだからこのような発想ができるのかな?と思って見ていました。クレープがカップに入っているのは知っていましたので。年長さんだったからこそそんな経験になったのかなと思ったので。

<園長>
キッチンカーをお呼びしていて、そのキッチンカーの方が子供なのでこぼれちゃうといけないからと言うことでカップに入れて提供してくれたのであのような形になっていきました。

<園長>
椎橋先生その辺りいかがでしょうか?

<椎橋げんき先生>
川島こども園さんが次のフェーズに入ってきたのかなと思ったのはこのたけ組さんの活動でした。

園に行って先生たちとお話しする機会をいただいたときに私は「きょうどう」という言葉を使うんです。どの園に行っても2パターンしか喋らないんです。年中児ぐらいまでは「共同」、年長になってくると「協同」という言葉を使って説明していきます。普通はここまでしか話さないんですけど、川島こども園さんは次のフェーズの「協働」という所も含めて考えていくと説明が着くと思うんですけど。違いは何かと言うと「共同」とは「心を合わせて取り組む」ということで例えば5歳児さんが砂場で遊んでいて2歳さんが来て水を組みに行こうと一緒に行ってあげるみたいなこと。2歳さんには水をくんできてと頼めないじゃないですか。でも5歳さん同士だと川作りたいから水汲んできてよと言っても頼める。これが「協同」に移り変っていくということです。年長さんになると多くの子ができるようになっていく。だからお店屋さんごっこが成り立つし、年中さんなんかもそれぞれのお店ができてきて1つのお店ができていく。では次の「協働」は立場が異なる人間が同じ目的に行く。それでそれぞれの特徴を生かすという所なんですね。さっきの話で言うとそこに先生という存在が入ってきて。こども園でもそうでしたけど、他の園でやる時には先生は最初抜けていてねって話をするんです。なぜかと言うと先生が先行してしまうから。先生が先行してしまうと子供が先生に任せてしまう。任せるというのは自分たちがやらないで言えば動いてくれるという存在になってしまうからなんです。でも川島こども園さんは少し変わってきていて自分たちはできる、先生は先生のできることをやってよという立ち位置になっている。こうなると普通に子供が頼むんですよ。たけ2組さんのようにフェルトを先生が出しても子供たちからしたら先生が出してくれた感覚じゃなくて、自分たちがやりたいことを先生が一緒にやってるというイメージですよね。だから釘をもうちょっと早くやればよかったなというのも、子供たちがやっているから大人がやってはいけないということではなくて、大人がやることによって子供たちがもう一歩上がってくる。大人の思っていたところを(できることを)越えてくる。その繰り返しでどんどん高まっていく。小学校中学年ぐらいになってくるとそれが顕著になる。例えば作詞と作曲のコラボレーションみたいに、立場が違う人たちが1つの作品を作るときに、両方とも優秀だとお互いが高め合っていくからいいものができる。これと一緒のことが保育室でも起きていくところに入っているのではないか。うまくまとまっているように見えてきたときに、どこかで先生たちが入っていって何かをすることで、「先生がそういうことできるんだったら僕たちはこういうことをする」ということで。「先生がこれをやってくれるんだったらお願いします」というような、先生を越えられない状態ではなくて、先生を越えてくる状態に子供たちが来たんじゃないかなというのが下地としてできてきたんじゃないかなと思う。ここを目標に川島こども園さんと一緒にやってきたところです。0歳からここまで積み重なってきて今この位置にいる。「協働」とはというところに差し掛かってきているので、どのタイミングで大人が関わっていくことがいいのか今手探りのところなのだと思うんです。だからいいんじゃないのかなと。遊ぶと作るが混在しないで分かれているのが今の状態。今年の子供たちの特性なのかもしれないけれど、この文化が根付いてきているからではないか。年中さんは友達同士の単位で「〇〇屋さんの〇〇をやっている」ということが起きている。これがクラスの単位になってくると「〇〇屋さんの〇〇の部分を自分は担っている」ということになってきているということではないかと思います。

<理事>
これまで年長さんがやっていたことを年中さんがやっているイメージがあった。椎橋先生のお話を聞いているとなるほどなという気がしました。

<副園長>
もう少し早く大人が関わってもがよかったんじゃないかなという印象はあった。今回は大工さんに関わっていただいたのですが、もっと早くかかわっていただいた方がよかったんじゃないのかなと思っています。どのタイミングで大人が関わっていくのかは今後の課題ですね。担任が保育室で起きていることをとらえてそれを共有していくこと、担任以外の職員が別の角度からそれをとらえてできることを考えていくこと、それをマネジメントしていくこともこの先大切だなと思いました。


まとめ

「公開保育と学校関係者評価を通じた幼児教育の質向上サイクルの推進」について2年目の取り組みです。前年度を受け安全性への配慮が根付いてきたことが成果として挙げられます。一方で浮かび上がってきた課題は次の通りです。

  • 繰り返して遊ぶこと、別の素材をとりいれることについて、子供の姿をとらえながら計画をする。
  • 特に年長児の保育においてどのタイミングで大人が関わっていくことがいいのかについて話し合いながら進める必要がある。

成果と課題をふまえ、今後も日々幼児教育の質の向上に努めてまいります。