R5公開保育・施設関係者評価について

令和5年11月14日(火)に施設関係者評価を兼ねた公開保育を実施いたしました。

公開保育はかねてよりご指導いただいています白百合女子大学准教授の椎橋げんき先生にご指導をいただきながら実施いたしました。

白百合女子大学 椎橋 げんき 准教授

専門分野は「教科教育学(美術科)」、「芸術学(美術、日本画)」、「領域表現(造形)」
全国各園にて保育における造形分野のご指導をされている中、2015年より川島こども園でもご指導、ご助言をいただいている。

今年度は、『安全性と主体性を両立させる保育環境』という共通の課題をもって保育のありかたや環境づくりについて取り組んでまいりました。

公開保育当日は椎橋先生と園の職員以外に、(認)川島こども園理事1名、評議員1名、近隣の小学校の川島小学校より1名、近隣園の川島保育園、キッズハウス保育園から各1名、保護者会より会長さんをはじめ3名の計8名の皆様にお越しいただき、保育参観と協議会を行いました。


公開保育の様子

ご参加いただいた皆様に0歳から5歳児全ての保育室における子どもたちの生活の様子をご覧いただきました。

協議(関係者評価)

協議会について
計9つの保育室での活動を順番にご協議いただきました。
(0~2歳児は学齢ごとに3つの保育室、3歳以上児は学齢ごとに2クラスずつ)
公開保育をご覧いただいた皆様による一部ご意見を抜粋して掲載いたします。
全文は下部の「+」の部分を開きますとご覧いただけます。

①0歳児

キッズハウス保育士

廊下まで使って広々と探索を楽しむことができるのは魅力的だなと思いました。子ども ちの表情がすごくよくて、手を振ると振り返してしてくれる子もいて、先生方のそばで安心して楽しく過ごしているんだなと言うことが感じられました。

<副園長>
まず0歳児 歩き始めの子たちも多くて、当初奥のマットスペースで過ごす時間が多くありました。椎橋先生のご指導をいただいて、もう少し広く動いてもいいのではないか、廊下を使っていないときであれば廊下にも出してしまっても良いのではないかというご指導をいただいて、もう少し探索を楽しめるようにしているところでした。3歳未満児の副主任をされています川島保育園の先生いかがですか?

<川島保育園保育教諭>
狭いところで保育していなくていいなと思いました。廊下にも出てきた子がいて、知らない先生がいるにもかかわらず不審がることなく、閉鎖的でない保育が普段からされているんだろうなということが感じられました。人工芝を歩いたりして、赤ちゃんクラスにもかかわらず「自分から外に出たい」という気持ちを止められずに活動していてとても楽しそうだなと感じました。

<キッズハウス保育園保育士>
廊下まで使って広々と探索を楽しむことができるのは魅力的だなと思いました。子ども ちの表情がすごくよくて、手を振ると振り返してしてくれる子もいて、先生方のそばで安心して楽しく過ごしているんだなと言うことが感じられました。

②1歳児

滑って転ぶのではないかということは私も気になりました。長い布を置いておくのは危ないなと思いました。

保護者会C


副園長

園の中でも十分検討して「大丈夫だよね」ということになりました。この点につきましては後ほど椎橋先生からお話をいただきましょう。
<副園長>
次に1歳児つぼみ2組さんに移らせていただきます。夏ごろから布を椎橋先生からご提案いただいて使用するようになりました。椎橋先生にご指導いただいて、透ける布や本日で言えば寒くなってきたので温かい素材など様々な種類の布を使用いたしました。そういった点につきましていかがでしょうか?

<評議員>
布がぶら下がってて、先生が「〇〇ちゃん」なんて呼んでね、自分でその布にぐるぐる巻きに巻かれたりとか、自分でぶら下がったりするとかしていて、こんな遊び方があるんだなと思って今日はびっくりしたところでした。それをやっていない子は、きれっぱしを使って箱に詰めては出し、それを飽きずに延々とやっているんですよね。昔の保育を想像すると、驚きの連続でした。

<副園長>
肌触りが違ったりくしゃっとなる感じがあったりと多様な素材が用意されていましたよね。

<評議員>
柔らかい布もあるし、固い布もあるし、温かさも違ったりして、だから続くんですよね。

<理事>
家でやったら怒られそうなことでも遊べているのがよかったです。

<副園長>
布を床に置いておくと滑って転んで危ないよねということ、首が引っ掛からないけど触って楽しめる高さってどれくらいだろうねということについて職員も迷いがありました。この点を見ていて危険に感じるところはございましたか?

<保護者会C>
滑って転ぶのではないかということは私も気になりました。長い布を置いておくのは危ないなと思いました。

<副園長>
園の中でも十分検討して「大丈夫だよね」ということになりました。この点につきましては後ほど椎橋先生からお話をいただきましょう。

③2歳児

保護者会C

今日はどんぐりが部屋いっぱいにあって遊んでいました。1歳児クラスぐらいの年ですと口に興味があって入れちゃう子が多くいると思うんですけど、つぼみ3組になると誰も口に入れることがなかったです。最初はきれいな形のどんぐりを入れたりして遊んでいたのですが、そのうち箱の素材の違いによって入れる音の違いを楽しんでいました。そのうちダイナミックになって行って、どんぐりをつぶしてその音を楽しんでいる子もいました。遊びながら遊びを発展させていっていることが分かりました。子どもたちのかかわりも、それぞれがぶつかることなく、この子がここで遊んでいるから私はここで遊ぼうって取り合いになることなく遊べていたのがすごく成長を感じました。

<副園長>
続きまして2歳児つぼみ3組さんはいかがでしたでしょうか?

<保護者会C>
今日はどんぐりが部屋いっぱいにあって遊んでいました。1歳児クラスぐらいの年ですと口に興味があって入れちゃう子が多くいると思うんですけど、つぼみ3組になると誰も口に入れることがなかったです。最初はきれいな形のどんぐりを入れたりして遊んでいたのですが、そのうち箱の素材の違いによって入れる音の違いを楽しんでいました。そのうちダイナミックになって行って、どんぐりをつぶしてその音を楽しんでいる子もいました。遊びながら遊びを発展させていっていることが分かりました。子どもたちのかかわりも、それぞれがぶつかることなく、この子がここで遊んでいるから私はここで遊ぼうって取り合いになることなく遊べていたのがすごく成長を感じました。

<副園長>
最初は箱の取り合いになることもあって、とにかく同じ箱をたくさん。物量を用意したんです。いっぱいあると満たされて、一旦自分のやりたい方に行くと数を減らしても大丈夫ということで今の数におさまりました。

<保護者会C>
「いいな」とみている子もいたんですけど、無理やりとることもなく待っているようでした。後になったら貸してくれるというのを学んでいるのか、先生たちが声掛けをすることもなく、子どもたち同士で関係を築いているんだなと感じました。やりたい場があったときに自然と並んでいたのも印象的でした。

<副園長>
手洗いとか滑り台とか…日頃の遊びの中で自然と順番が身についていった現れですかね。

<副園長>
基準上どんぐりの大きさのものを保育室に置くことはガイドライン上望ましくないないことなんですよね。ただ、園庭に落ちているドングリで十分外遊びをして、口に入れてその不思議さを試す段階ではなく、どんぐりで遊ぶということが保育者としても共通認識できたので保育室でも使ってみようということになりました。

<保護者会C>
園児の成長を見ながらの活動ってことですよね。

<保護者会C>
最初は緑のドングリをポケットに忍ばせて持ち帰ったり

<一同>
ああ(笑い)

<評議員>
ドングリの木がお庭にあるってことがすごいことですよね。
先生たちにドングリはどこにあるんですか?って聞くと、そこにあるんですって言うから。

④(年少児)3歳児1組

副園長

担任は買って、外に持って行く過程で慣れてくるとどうしても走ってしまう事が気になっていたようでした。掃き出し窓のところに段差があるので、出入り口がどうしても危険なんです。そこを、どうやったら外に行くときにぶつからないようにできるかを日々机の置き方や物の置き方を子どもたちと微調整していました。
クランクのようになっていましたよね

理事


<副園長>
次は3歳児もも1組さん。お客さんに来てほしくてたまらなかったもも1組さん。夏場からずっとしていたピクニックごっこ。ようやく役割分担ができてきたかなというのが担任の最近の話です。自分が作りたいものを作っていたところが、これを作りたいというように移り、作った物をメニューにすると同じものを量産するようになってきたようです。お店屋さんをしたくて、買ったらピクニックに行く流れができているようでした。しかし、お客さんが常態的に不足しているようでした。

<理事>
「お客さんを待っていました」というようにお部屋に誘い込まれて、なかなか抜けられずに長居してしまいました。

<評議員>
「お外にどうぞ」と言われてどんどん誘導されて外にいっていただいてきました。
誰もが同じ認識をしていてすごいなと思いました。

<副園長>
担任は買って、外に持って行く過程で慣れてくるとどうしても走ってしまう事が気になっていたようでした。掃き出し窓のところに段差があるので、出入り口がどうしても危険なんです。そこを、どうやったら外に行くときにぶつからないようにできるかを日々机の置き方や物の置き方を子どもたちと微調整していました。

<理事>
クランクのような状態になっていましたよね。走りづらくなっていましたね。

<副園長>
年少児は走り始めると走ることが楽しくなってしまって、お店屋さんの遊びが飛んで行ってしまう。危険だということはもちろんのことで、遊びに集中している子たちがより遊びこめる環境をどう作っていくかを日々試しているようです。

<理事>
一方通行にすることもよかったのですね。

<副園長>
真ん中に机を置くと回遊してしまう。子どもたちとどんな風に遊びたいのかを何度も話し合って、買ったら外でピクニックをしたいんだよねということに何度も戻りながら遊んでいるようです。

⑤(年少児)3歳児2組

園評議員

昔は物を「あなたはこれね、あなたはこれね」とそれぞれに分けていたんですけどね、3つくらいのグループに適当に分かれている。それでそれぞれが楽しんでいる。手持無沙汰な子がいないでみんな夢中になっている。その割合が、だいたい同じぐらいになっている。先生が分けるのではなく子どもたちが自然に分かれているのがすごいなあと思いました。ハサミを使っている子もいる。静かにしながらコミュニケーションをとっている様子が見られました。

<副園長>
(年少児のもう1つのクラスの)もも2組さんはいかがでしたか?

<保護者会A>
自分たちが作っているから「見てて」という雰囲気でした。とても静かな環境でした。

<評議員>
昔は物を「あなたはこれね、あなたはこれね」とそれぞれに分けていたんですけどね、3つくらいのグループに適当に分かれている。それでそれぞれが楽しんでいる。手持無沙汰な子がいないでみんな夢中になっている。その割合が、だいたい同じぐらいになっている。先生が分けるのではなく子どもたちが自然に分かれているのがすごいなあと思いました。ハサミを使っている子もいる。静かにしながらコミュニケーションをとっている様子が見られました。

<副園長>
もも2組さんは物が整然としていましたね。

<評議員>
元のところに戻していました。基本のことなんですけど、大人でもできないこと。
包丁を使ったら元の位置に戻す。まな板を使ったら元の位置に戻す。コンロのところもきれいなんですよね。ハサミを使っているところにはちゃんと先生がついていて危なくないように見守っている。走って出入りできないように、絶妙な距離感で机や椅子がありました。

<副園長>
スペースの取り方もそれぞれのやりたいことを見ながら毎日変えているようです。もっと偏ることもあって、はさみのスペースには特に気を配っています。

<評議員>
遊びの中から自然と使ったら片付けるということが実についているのがすごいなと思いました。

⑥(年中児)4歳児1組

見学行ったのはスシローでしたよね?スシローは新幹線じゃないのに、みんなの普段の生活の経験が合わさっているんですよね。そういうアイデアを出した子がいるだなって。

保護者会A


<副園長>
年中児(うめ1組)さんはいかがしたか?

<保護者会B>
新幹線がすごいなと思いました。うちの子も回転ずしに行くと「きたきたきたきた」って言って大喜びなんです。よくできているなと思いました。

<保護者会A>
見学行ったのはスシローでしたよね?スシローは新幹線じゃないのに、みんなの普段の生活の経験が合わさっているんですよね。そういうアイデアを出した子がいるだなって。

<保護者会B>
黄色と白の2台ちゃんと走っていて、魚べえは2台あるんですよね。

<保護者会A>
ちゃんと見てるんですよね。

<理事>
新幹線を引っ張ったときに「(おすしが)落っこっちゃってるよ」って言ってたので、次何かするんでしょうね。そういうのも工夫するんだろうなと思っておもしろかったです。

<保護者会A>
お部屋でも子どもたちから「この前見に行って、お寿司食べてきたんだよ」って言っていて「たまごだよ」って言ってました。そういえば、注文のタブレットどうするんでしょうかね。

<副園長>
タブレットを押しているのを店員さんが見ているようですよ。

<理事>
あれタブレットなんですね。

<保護者会A>
紙かと思っていました。私たちも使っているけど、自分たちでお店屋さんごっこ使用ってなったら紙のメニューしか作らないです。

<理事>
自動レジがちゃんとありましたよね。これレジですって説明されて、そこに入れてくださいって言ってましたもん。

<保護者会A>
(とってきた)写真と同じように作られてましたもんね。

<副園長>
去年はお店に行く前には遊びが盛り上がっていなくて、見に行ってから遊びが盛り上がっていったんです。皆で見てきたものをそのまま再現しようってことになり、これとこれとこれが必要で、役割分担すればいいよねというのが子どもたちから出てきて割とスムーズに進んだんですね。ただ、それをやるとそのクラスらしいお店にはならないよねと職員間で反省が上がりました。そこで今年は一回お部屋で盛り上がっている中で、困ってから行ってみようということにしたんです。「私の言ってる寿司屋はこんな感じなんだよ」「僕が言ってる寿司屋はこうなっているからこう作りたいんだよ」という言葉だけで作っているのを注意深く見ていくことにしたんです。お寿司屋さんの遊びが盛り上がっていても入って行かない子がいて、もちろんそれもいいのですが、聞いてみると「お寿司屋に行ったことないから」という話をする子も実際にいるんですね。そうするとお皿の色がそれぞれ違っていることについて言い合う様子とか、衣装も作ろうとしても言っていることがかみ合わなくて作るのをやめてしまう様子とか、そういうのが見て取れるようになったんです。そういうタイミングでお店に見に行けるといいよねということで今年は取り組みました。

<理事>
先生たちも去年からの学びの積み重ねなんですね。

<保護者会A>
選んでるネタも子供らしくていいですよね。

<理事>
いくらの作り方もいいですよね。丸いの載せるんじゃなくて、赤い紙の上にプチプチのシートを乗せるといくらのように見えるんだなって。

<副園長>
最初は平面だったものがどんどん立体になっていったんです。

<保護者会A>
エビの再現率がすごかった。かっぱ巻きみたいなのもあって上手だなと思いました。

<理事>
ご飯のつぶつぶを発泡スチロールを使っているのもすごいなと思いました。

<副園長>
今まで作った素材を総動員して作っている様子が見られましたよね。

⑦(年中児)4歳児2組

理事

看板はできたんだけど、まだ平らになっていて立たないんですって。それを先生と一緒になって悩んでいる様子がありました。これが明日以降どうなるか楽しみになりましたね。

<副園長>
(年中児のもう1つのクラスの)うめ2組さんはいかがでしたでしょうか?

<理事>
担任の先生に聞いてみると、最初は注文を受けてから詰めることになっていたんだけど、子どもたちから「それだと時間がかかる」という話が出て、それでパックに詰めだしたんですってね。あれだけシステムチックに流れもいいし、役割分担を楽しそうにしていてすごかった。

<保護者会A>
大人並みの彩り

<評議員>
黄色に赤に茶色にね

<保護者会A>
緑もちゃんと入っててね 中身が決められているわけじゃないのにどれも彩りがよかった。

<理事>
具材ごとに分けられてるんですよね。詰めやすくしてるなって

<保護者会A>
卵のかご、エビフライのかご、ハンバーグのかごとあって本物のお弁当屋さんみたいだなと思いました。

<副園長>
売り切れると、机の下から同じものが出てくるようになってるんですよ。最後に割りばしをすっと渡す子も。見学したからかなって思いました。

<理事>
すごく見学が生きていましたよね。見学した内容を写真でまとめてあったのも分かりやすかったですよね。大きな釜をみせてもらったりとか。あれの上であのお店が成り立ってるんだなって。すごく見学が生きてるなと思いました。

<評議員>
理事さんが「おにぎりの色に茶色と白があるけどあれは何なの?」って聞いたら、一人の子が「それは焼きおにぎりなんだよ」答えた子がいて説明ができるんだなって思いました。

<保護者会A>
おすすめを聞くと「これです」とも答えてくれました。

<理事>
看板はできたんだけど、まだ平らになっていて立たないんですって。それを先生と一緒になって悩んでいる様子がありました。これが明日以降どうなるか楽しみになりましたね。

<副園長>
担任が昨日は数を数えたって言っていました。みんな来たら売り切れちゃうよねという話から、数が足りないから作り足すということに話し合いの中で決まったようです。自分たちの分もほしいみたいで。今は自分のクラスだけで遊んでいますけど、クラス間でやり取りをしてみると、(1組のおすしの)タッチパネルについて「何なの?」みたいなことも起こるのではないかと思います。

⑧(年長児)5歳児1組

保護者会A

看板の字も大人から見れば画面に対して字が小さいなと思うんだけど、子どもたちは自信をもって書いていて、先生もそれを「いいよね」と言って見守ってくれているのがよかったです。

<副園長>
たけ1組さんはいかがでしょうか?年長児は小学生につながっていくので、「幼児期に育ってほしい10の姿」というのがあり、それを活動の中で意識しながらいれるように計画を立てています。

たとえば「文字と数」、ケーキの箱の中に入れるときに、10ずつ並べようねという声があったそうです。整然と並べた方が、(大人の言葉で言うと)在庫を管理する上でも分かりやすいよねという話になって。一人が言い出すと、それを担任が取り上げて「10個ってどういう数だろうね」みたいなのを話し合いながら、先生がそれを膨らませて整理してというのを繰り返して、今後の小学校の学習にもつながったらいいなと思っています。電車に乗るときに使う「たけも(PASMOから着想)」も一人が書きだすとみんな書きたいと思うようになるんですよね。そうなるとみんなが書けるようになっていく。文字への意欲がぐっと高まっていくのを感じました。

<副園長>
年長児はこれまでの活動を総動員していますが、年長児から使用しているものの中に「ダンボールカッター」という道具があります。段ボールを切るのに便利なのですが、とても危ないです。使用を始める前には椎橋先生に導入をかけていただいています。ハロウィンパーティーの時にクッキーとか星の形をつくっていたものが保育室にあったかと思いますがご覧いただけましたか?

<保護者会A>
看板についてましたね。みんなショーケースを作っていましたね。

<副園長>光らせたいよねって言うことも子どもたちが言っていました。「ライトがついているのはどうしてですか?」とお店の人に聞いていて、「明るく見えるから」という答えをいただいていました。「クリスマスツリーの物を使ってもいい?」という話も出ていて。相談中です。

<理事>
青く塗っていたけれどあれはガラスを表現していたのかな?

<副園長>
見てきたものは前面ガラスでしたね。

<理事>
ライトを入れたのも入れてみたら暗くなっちゃうからですかね?

<一同>
なるほど

<理事>
あと、ケーキを入れると引っかかってしまうから、下の段だけフラットに切っていました。いろいろ考えているんだなと思いました。

<保護者会>
ダンボールカッターって100円均一ショップでも売っていますよね。息子も持っています。

<理事>
園で使っている物の方がよく切れる感じがしました。先生方もダンボールカッターのところに必ずついていましたよね。手が危ないとか軍手をつけるとか、しっかり注意を払いながら見てくださるから使えるんだろうなと。

<副園長>
ダンボールカッターのところには必ず1人つくということも決めごとにしています。

<保護者会A>
たけさんになると先生からどうしなさい、こうしなさいということがないですよね。
先生の声も聞こえない。困っている様子が見られると、「何しようとしてたっけ?」「どうしようとしてたっけ?」という声掛けがある。

<評議員>
みんなそれぞれに活動していて暇にしている子がいないのが驚きでした。

<保護者会A>
「あの子はデザイナーなんだ」という子どもたち同士で良いところを認めている姿があった。デザイン画があって、そのデザイン画に沿って作っている様子があった。

<評議員>
同じエプロンでも、年中児は1色で作っていたのに対して年長児になると2色使ったり、ペンを使ったりと発達が見えました。

<理事>
男の子でも女の子でもどちらでも喜ばれるようなデザインにしたという話が出ていて、子どもたちがそういうところまで配慮しているんだなとうことが驚きました。

<保護者会A>
看板の字も大人から見れば画面に対して字が小さいなと思うんだけど、子どもたちは自信をもって書いていて、先生もそれを「いいよね」と言って見守ってくれているのがよかったです。

⑧(年長児)5歳児1組

小山駅に行ったってことで実際に目にしたものをリアルに再現していることがすごいなと思いました。一つ一つ子どもたちが作れるように影で動いている先生たちの姿もいいなと思いました。

川島保育園保育教諭


<理事>
たけ2組の駅は、点字ブロックがあって、「これ何?」と聞くと「目が見えない人のためにこれがあるんだよ」と答えてくれて、ちゃんとわかって作っていてすごいなと思いました。

<保護者会A>
理解してるんですね。

<副園長>
たけもも展示も電車に乗って駅まで行ってから作ったようです。小山である必要あるかなという話もあったんですけど。

<保護者会A>
なかなか電車は乗ろうと思わないと乗らないですよね。

<川島保育園保育教諭>
川島保育園でも小山駅に電車に乗っていったことがあったんです。新幹線をみてすごいねって言ってたんですけど、それがこういう遊びにつながるのはすごいなと思いました。あと、さっきも出ていたかと思いますが、どの子にも声をかけてみたんですけど、自分がやろうとしていることが説明できていた。子ども自身が楽しんでいるから、何をやっているのかを自信をもって説明できているのだなと感じました。

<キッズハウス保育士>
小山駅に行ったってことで実際に目にしたものをリアルに再現していることがすごいなと思いました。一つ一つ子どもたちが作れるように影で動いている先生たちの姿もいいなと思いました。

椎橋先生のご講評

椎橋 げんき 准教授

皆様ご意見いただきましてありがとうございました。
縁あって川島こども園さんと長くお付き合いさせていただいています椎橋です。

今回、全体を通して保育中に大人の声が聞こえない(子どもの声、提案などが主となる)保育になっている様子が見られました。また、大人が嫌がること(やってもらいたくないこと)は安全配慮に関することにつながることが多いことを予想されます。一方で、子どものやりたいことにつながっている可能性もあります。今後も安全面を第一に考え、子どものやってみたいことを考えていくことで、より主体的な関わりになると考えられます。

皆様ご意見いただきましてありがとうございました。
縁あって川島こども園さんと長くお付き合いさせていただいています椎橋です。

<0歳児>
他の園で年中、年長に入ってくださいと言われることが多くあります。乳児の時期はすごく大事だと考えていますので、慣れてきますと、乳児に入らせてほしいとお願いをしています。
特に0歳は先生たちからすると安全に見守るということが第一前提となっています。それは全然かまわないですが、安全を意識しすぎてしまって少し冒険が足りないなと常に思っています。そこで、先生たちに部屋を開放しましょうよと提案しています。こう話す前までは一番奥の部屋で遊んでいて、そうすると先生たちの中で疑問が一つ浮かんできます。環境が変えにくいと。「子どもたちがいつも同じもので遊んでしまいます。どうしたらいいですか?」というので、最初はそのスペースの中でいかに遊べるかということで、人工芝とかいろんな刺激を入れたらがいいんじゃないかとお伝えしました。でも、手前側の部屋をおやつしか使っているのを見たことがないから、「なんであのスペースを使わないの?」と話をしたら「危ないから」というんですね。これは安全面の話なんですけれど、「危ないからやらない」のではなく、「何が危ないのかを子どもに聞いてみよう」つまり解き放ちましょうと話をしました。解き放ってみるといろいろ危ないことが分かると同時に、「大人が嫌がることって子どもがやりたいことじゃん」「いかに大人が嫌がることを探すか」それを「いかに保育環境に変えていくか」ということ。例えば本棚をぶわっと全部出すことが楽しいのであれば、例えば段ボール箱に全部フェルトを付けて中にも段ボールを切った物にフェルトを付けたものを本のようにしてバンバン出せるような装置を作ってあげればいいですよねと。ただそれは、保育者が考えるよりも(子どもたちが)大人にとって行かれちゃ嫌だなというところに行ってみて、そうするとこういうことに興味があるんだだからこういう保育環境を作ろうということにつながっていくんじゃないのってところから始まったんですよね。もちろん本当に危なければ即撤収なのは大前提です。
もう1つは、0歳児がはいはいなどをして歩いていくところです。体を使った方が絶対いいよねという話をしました。狭いところだとたかが知れています。それでは「何で廊下に誰もいないときに廊下を使わないの?」と話をすると、先生たちは「危ないから」と答えました。「人数体制的にいけない?」と聞くと「行けるんですけど…」と答えるんですね。おそらくドアを開けたとしても全員は行かないし、もし行ったときは誰が行くのかを見るといい。子どもたちの個々の関心を見ていきましょうよということで、あの扉を開けてみることにしたんです。そして解き放ってみたときにどこに行くのかというところを見て、(例えば目の前の保育室の)異年齢のところに行って歌を聞いてもいい。歌は窓越しで聞いていたものを、お部屋の前でジーっと見るのもいいんじゃないか。そういうことを繰り返していきながら刺激を多くしていく。もちろん人見知りで泣いちゃう子もいるかと思うので、帰れる安全基地を作ってあげるということ。今日見ていく中でも一番奥にいる子と、一番ドア側にいる子とそれぞれいる位置があって、そうすると先生たちもその子の特質や先生との距離も分かるし、どういう風に距離を測っていくかというのも見えるし、おそらく一番奥の部屋にいるよりも、安全面に気をつけることができるんじゃないか。安全のために安全な空間を作るのではなく、安全のためにぎりぎりまでやって、どこまでが安全で何が危ないのかというのをちゃんと認識しましょうよというのを伝えたら、川島こども園の先生は感度がいいので、いろいろ環境の工夫をしていったというのがまず0歳児さんの様子でしたね。

<1歳児>
1歳児さんは、先生がどういうものを使っていこうか悩まれていました。しかし、あまり素材に振り回される必要はないのではないかなと思っています。子どもたちは基本繰り返します。大人からするとずっと繰り返している遊びって不安になるんですよ。「ずっと遊んでいてどうしよう」「新しい刺激入れなきゃ」って。僕は乳児を含めてですけど「子どもの繰り返し」は「大人の振り返り」だっていう話をよくするんです。大人って1回やった遊びっておそらくしないんですよ。なぜかというと「こういうことをやった」って言語化して把握するからです。子どもはまだ言語化が十分にできないので、何回も同じことをしながら振り返っていく。だから繰り返して遊ぶんですよというお話をしたので、先生たちがよく「布を出しました、こんなふうに遊びました、次の展開をどうしたらいいでしょう?」と聞くんです。という風に次の手を出してしまうんだけれども、もう1回同じことをやりましょうよ。そしてもう1回同じことをやったときに、どんなこ変化があったのか、どんな気づきがあったのか、どんなことに興味をもったのかというものをちゃんと記録しながら見ていく。その中で変化を追いかけていきながら、少しずつ変えていく方がいいんじゃないですかという話をするんです。だから先生たちに発展とかこういうことではなくて、っていうところのまず前提条件がある中で、布を出したと。布をやる中で先生たちが遊びが止まってしまうっていったので、大人が嫌がることですよね。僕が入ったときによくやるのが、カーテンにくるくる包まるんですよ。だから先生たちがカーテンを撤収するんです。じゃなくてカーテンで包まるのが楽しいんだから、カーテンみたいな物を設置したら布で遊びますよね。そういうところから発案していくといいんじゃないのと。大人が片付けようとするのに布を持ち上げたらそれを子どもたちは掴もうとしますよね。だったら布が持ち上げた位置、手の届くところにあるのが楽しいのではないか。だから布をちょっと持ち上げてあげてみると子どもたちが動きたくなるのではないか。そうすると布遊びの造形ということよりも、布遊びを使うことによって普段しない動きを引き出すことができるのではないか。そのようにしていくと、お部屋の中でも外に行くのと同じようにいろんな動きを引き出すことができるので、領域の「健康」といって体の動かすことにつながる。私は造形を専門として入っていますが、全部を保育としてみたときにどういうことができるかっていうことを考えたらよいのではないかということをお伝えしています。一方で、布っていうのは安全面でリスクが高いものです。布遊びは全学年で行うのですが、まず首がしまらないように注意します。年齢を問わず、最初に出したときに必ず首を見ていてくださいという話をするんですね。まずは首がかからないように高さを調整します。2歳以上になると引っ張って首を絞めてしまう恐れがありますのでその点も注意します。今回は1歳児なので、おそらく引っかかることの方が危ないのでその配慮がされていたのだろうと感じました。保育環境としては一番最初に布を出して、時間が経ったらぬいぐるみを出していました。あれを一気に出してしまうと遊びが分散してしまうので、一回出してみて、子どもたちの遊びが移ろう様子を先生たちが注意深くみていました。その移ろう場所とか移ろうものを先生たちが小出しにしていくということをして、遊びを部屋の中で行えるという環境を作っていったのかなと思いました。布を下に敷くと危ないというお話しがありましたが、素材を一気に出すと子どもたちが「何となくある」ということになって危なかったと思います。今日のように走り回りそうなタイミングで次のを出すと、こっちに興味が行き、また出すとこっちに興味が移るというようにゆっくり出したということが走らないようにする意味があったのではないかと思います。布は踏むと危ないので、布の近くには先生が必ずいて、走りそうだったら大きい布を外したりするとか、布をテーブルにおいてあげたりするとか、そういう配慮をしながらいくといいんじゃないかなと思います。危ないからひっこめるのではなくて、危なかったら何が危ないのかというのを予見しながら安全なところに移すということをして、だけど遊びは継続できるように考えるというのが大事なんじゃないかということも話しています。布だからといって布でずっと遊ぶのではなくて、さっきお話しした出し入れするとか、そこで子どもたちの今の発達に応じた行為をたくさんしている中で面白さを見つけたりとかすることが大切です。そしてまず大切なのは、おそらく子どもたちがやっていることよりも、やっていることを通して先生とのコミュニケーションが楽しいって感じることではないでしょうか。そうすると、先生との関係性も結ばれることになり、ここで安全で遊べるなということと、人に伝えるって楽しいなっていうことが育まれます。そうすることで、2歳児に向けて人とのかかわりを友達の方にも向けられるようになっていきます。1歳児さんは、友達同士で関わっているようだけど実は先生とのかかわりが大事なので、先生の存在っていうのがとっても大事ですねというお話をしながら進めているところです。

<2歳児>
前回僕が行ったときには初めてドングリを部屋で出したところだったんです。今日来たらかなり進化していて驚きました。2歳児はぶつかっていく年齢にもかかわらず、すごく落ち着いているというのは、おそらく前段階で先生たちが試行錯誤したことが分かりました。気を付けなければいけないのは2歳児産がいざこざを起こさないようにすることが良いことなのではなく、もっとぶつかっていいと思っています。今回はぶつかった結果落ち着いて遊んでいるように見えるのですが、2歳児さんはまだ、相手の気持ちに乗っかることは難しいのです。でも、違う文化の子が隣にいてなんとなく引き寄せ合って一緒にいるのだけれども、やっていることは微妙に違う。だけど、この空間はおもしろいよねという風に進んでいく。5秒後ぐらいにまた離れていくというのがいたるところで繋がっていく。そうすることによって友達同士で何となくいてもいいよね。違う文化がそこにいて、そこが何か一緒の空間にいてもいいというのが非常に大事な時間なんじゃないかと思います。例えば他の園の様子を見ていると2歳児さんで「製作」といって色んな物を作っている場合があるのですが、ほとんど多くの2歳児さんは「大人が分かるもの」は基本作らないです。では何が大事かというと、造形を通して人と人が触れ合って、そこで子どもたちが人の温かさなどを感じたりいざこざを起こして嫌なことを知ったりして、人間関係をはぐくむことなのです。そのための造形であって、2歳児さんは何かを作ることが目的ではないよねということを(大学でも園の先生たちにも)常にお話ししていることです。だから今日どんぐりで何かを作りましたということはやっていなくて、あの中で子どもたち同士が関わることによってこんなことができた、あんなことができた、あの子こんなことをしている、私はだけど違うことをしている。それが同じ空間にいてもいいよねというのを感じられると他者を認められるような土台が出来上がってきます。乳児で大人の分かるものを作ると幼児の先生が困るんですよ。なぜかというと、幼児が自分たちで作りたいものを作るときは、割とごてごてしたものを作るからです。乳児は大人の分かるものを作らないので、乳児で大人の分かるものを作ってしまうと4、5歳の担任は「なんか2歳児の時にあんなに上手に作っていたのに、4,5歳になるとすごいへたになっちゃったね」と保護者に言われてしまう。そういうものなんですけど、保護者は専門家じゃないですから。だから幼児の先生が大変になるんですね。完成度あげなきゃいけないかなと思ってしまう。そうではなく、乳児の時には徹底的に遊んで、造形は子どもたちを人として育てるためにあって何かを作るためにある訳ではないんですよね。その代わり保護者には、どんなことに興味があって、何を感じていたかっていうのを伝えていけば保護者の皆様も理解してくださるはずなんです。幼児になったときに「ごてごてしているんですけれども」というものの「何がよくて」「どんな子どもたちの物語が詰まっているか」っていうことを保護者が一緒に考えていけるという土台を作っていくために、乳児の保育はとても大事だなって思っています。
保育室でドングリを使ってみようという提案は僕がしました。部屋はフローリングなので、落とした時の音が抜群にいいんですよ。外だと落としたときに音がしないじゃないですか。事前に外でどんぐりを使ってやっている遊びが転がすということを聞いていましたので、どんぐりって転がすと面白い音がするし、落としてみたくなるし、なんか動かしてみたくなるって言うのを子どもたちの中から引き出すためには部屋かなって思ったのです。だから、部屋でやってみませんかという提案をしてみました。そうすると、何もなくてもドングリを落としたら「ガラガラ、ガラガラ」という音が鳴るというところから、落としたら音が鳴るんだから、器の中に入れてもう一度落としてみる。ということで「入れる」という行為が生まれるし、入れる入れ物も大きい方が面白いということが分かるし、音がするなら箱に入れてみたくなる…といった感じで遊びが誘発されるんじゃないかなということを、先生たちがうまくつなげてくれたかなというのが今日のところでした。

<3歳児>
3歳児のおままごとについて。3歳さんは思った通りに作るというよりもイメージが先行していくので、普段やっている遊びから何かイメージしたものを作ってみたくなるということをしませんか?というところからスタートしてみました。おままごとコーナーでよく遊んでいたので、よくある「目玉焼き」という形のような既成のものはとっぱらいましょうよと話をました。その代わり子どもたちが素材遊びをしたときに、それをおままごとコーナーに持って行ったらイメージして、それを具材として使うのではないかという話を年度の前半からしていました。それを先生たちも拾ってくださって、それをどんどん増やしていった結果、いろんなイメージが広がっていきました。基本的にこれがどういう提案かというと、子どもたちはそもそも砂場でおままごとをすることができます。物は砂場の砂で良いわけです。ということは、大人が視覚的に分かるようなおままごとの道具=食べ物ではなくて、もっと子どもたちがイメージできるようなものを普段から作っていくということができるのではないかということなのです。遊びの中でもできたことなんじゃないかなということなのです。
また、最後きれいに片付けていたと思うんですけれども、おそらく年中さんになるともう1回散らかすと思います。なぜかというと、年少さんはまだ子供たちのかかわりが十分にできていないけれども、相手の気持ちを共有するかしないかそこのせめぎあいの時期だからです。まだまだ「自分の世界」、つまり多くの子において他者を受け入れるより前に、自分でやりたいということが先行しているんですね。だから自分が使ったら片付けるということが今はできる。ただ、年中さんになってくると、友達同士のかかわりが入ってくるので、何か作りながら友達との関りがおもしろくなってしまって、とりあえずおいておくということが起きる。それによってぶわっと散らかる時期がやってくると思います。そうなったときには興味が片付けではなく、友達同士の関りにいったんだなという風に見てあげるのもひとつ手なんじゃないかなと思います。今は今の発達であって、これができるかできないかということではなく、大事なものが移り変わった時期かなという視点でも見てあげることが大切なのではないかと思います。
そして、子どもたちが好きなことをやっていることがよかったのではないかと思いました。はさみでずっと切っている子がいて、子どもたちがいろんなことを好きなことをやっている=役割をしながら、自分がこういうことをやるということ、「何がいいですか?」と聞いてくる子もいれば、自分の好きなことをずっとできるスペースがすごく大事かなと思っています。だからみんなで遊ぶのも大事だし、だけど私がやりたいことも保障するという環境設定が、走る導線と別に設定されていたというのがすごく考えられているのかなというのを感じました。よく環境設定の中で、「はさみってどういうにセッティングされているんですか?」というのをよく聞かれるんですけど、「無理をするのはやめましょう」とお答えしています。安全面が保障されないんだったら、一斉に使うこともありではないかと思います。自由に使えるということは危険が伴います。だから先生が見えるところだけにセッティングして使うというのが、すごく3歳児さんでよくやってくださっていたなと感じました。あとは、「走る・走らない」の導線のところは本当によくやってくださっていたなと思いました。副園長先生が言っていたように、走り出したら興味が全て走る方に向かってしまうので、その集中の仕方の工夫も大切ですね。

<4歳児>
お店屋さんごっこをやる前に、出だしがすんなりといったので一週間ぐらいで完結してしまうのではないかということを先生方とお話ししました。そこで、事件を起こしましょうということになりました。例えば、事務室から先生たちが保育室に行って「まぐろを12枚ちょうだい」というと子どもたちは「え?!」と混乱すると思うんです。そういった事件を起こしましょうよと話をしました。
また、本物を見に行くということは、本物を見てきたものをそのまま作ったりとか、イメージがわいたりすることも大事なだと思います。しかし、僕は見に行くことの大切さというのは「イメージをみんなが共有していく」ということだと思っています。やもすると行ったものを作っていくことに目が行きがちです。ですが例えば料金を払うシステムを各家庭で違うじゃないですか。バーコード決済もあれば、クレジットカードの場合もある。現金の場合もある。そういう色んな文化の違う家庭で育っている中で、じゃあお店屋さんごっこをやりましょうよという中で、ごちゃごちゃになってしまいますよね。たとえば、年長さんを含めてですが、「PASMO」といういうシステムがある。そうすると、これがメインになる。だからお寿司屋さんを含めて見ていくと、皆で見ていくことによってメニュー表はタッチパネルであることが分かります。(スシローさんに見学に行ったが、新幹線が届けてくれるのは魚兵衛さんだったように)その中に自分たちの経験を差し込んでいけるというのが年中さんのおもしろいところです。年少さんとの違いとして「あの子はこう思っている。私はこう。」これが2歳児さんから積みあがっていることなんですよね。私がやっていることはこう、あなたがやっていることは違う。でもいい👍」そういう積み重ねなんじゃないかなと思っています。
それで、うめ2組さんの先生とは、「うまくいかなかったりした時間があったり、経験する時間というのが必ずあって、そこで焦らないでね」と常にお伝えしていました。子どもたちにはふわっとした時間が存在するんです。子どもの遊びには波があって、そのふわっとした時間こそが大人が一番口を出したい時間なんです。何か困っているとかどうしようとなっている時間。大人の知識があれば一歩進めそうな時間なんです。そこで耐える。そこで子どもたちが考えてどうするか。つまり子どもを信じましょうよと言っているんですね。そういう時に先生がするんじゃなくて、助け舟を出す。今回で言えば、本物を見に行くとかそういうことをやって何かきっかけを作ることであって、先生が手を出すことではないよね。あとはそこを子どもたちが乗り切る力があるよね。そこを今回経験できてよかったのではないかと思います。
さらに、うめ2組さんは瞬発力があるなと思いました。僕が保育室に行ったときにお金を1つ渡されて、「どれがいいですか?」って言われました。そこにはハンバーグ弁当とエビフライというメニューが2種類あったんです。そこで「先生いっぱい食べられるから2つ頂戴って言ったんです。」っていったら一瞬フリーズしたんですね。2つあげるってシステムがなかったんです。慌てて誰かがお金をもう1つ持ってきて追加したんですけれど、対応できない子がいて。そうしたら先生が「ねえねえ、2つ来たらどうしよう」っていう風に、いわゆる「次どうしようか」ということをみんなで考えるって時間を先生たちが設けていたんですよね。そういうところがうまいなと思いました。あそこで完結している雰囲気があったので、僕は事件を起こした方がいいかなと思って2つ頼んでみました。この経験があったことで、次は何個頼んでも大丈夫なようにおそらくシステムがまた変わっているような気がするんですよね。こういった風に何かハプニングを起こしていくと遊びが続いていくんじゃないかなっていうのが面白かったのではないかなと思います。
スシローのところもそうですよね。1回遊びがぐちゃっとなるところが、子どもの次のステップに上がるところです。それが保育者の待つ時間だということです。あと使ってきた素材の提供というのが大事だというところです。よくやりがちなのは「お寿司屋さんを作るから何使いたい?」と聞くことです。これは大変危険です。うちも娘が三人いて、よく妻がこういう質問をするんです「夕ご飯何食べたい?」「マック!」「マックはだめ」みたいな。(笑)「何食べたいって聞いたじゃん!」みたいなね。何かというと保育でもこういうことがあって、「何を使いたい?」と聞いたときに子どもって、いろんなものを言ってくるわけですよ。その中には大人にとって使えないものが出てくるんですよ。例えば「れんが」と言われたらそれは持ってこられないじゃないですか。使えないから。でも子供からしたら、「何使いたいって聞いたじゃん。どうすればいいんだよ」ってことになる。そういうときに先生が今まで使ってきたものを整理してあげる。今までこんなものがあったよねというのを情報整理してあげることがすごく大事で、おそらくそういうことを丁寧にやることによって、今まで私たちがこういうものを使ってきてこんなことができた、だからこんなことができるんじゃないかなということに繋がってきたんじゃないかなあということを、素材提供の時にする。それと先生たちも安全面の配慮というのが背景で見えてくる。こういうものを出すにはこうした方がいいなということとか、これを出すためにはこういうセッティングをした方がいいなとかいうことで安全面の配慮ができるんじゃないかなと思いました。

<5歳児>
次は5歳児なんですけれども、ダンボールカッターの導入に関しては私も慎重に行っていて、ダンボールカッターを使う前にひたすら段ボールで遊んでおいてくださいねと先生たちにお願いしているんです。副園長先生が先ほど言っていたように、「発達に合わせればやっていいのか?」と言っていた点についてつながるんですけれども、5歳児は段ボールカッターを使える。使えるんだけれども段ボールに慣れ親しんでいないと、危ないんです。なぜかというとテンション上げまくりだからです。段ボールを見たときに、「うわーダンボールだ!いいぇーーーい!」というときにダンボールカッターを出したらパニックですよ。入りたいし被りたいしっダンボールカッターを使いたいとなるからです。段ボールでひたすらひたすら遊んで、常に部屋にあって、何か用途があったら使うとなったら、「みなさんこれさ、切るの大変だった」「たいへんだった」「それじゃあこんなのあるよ」といってダンボールカッターを出してあげると、どうしたいかというイメージをもって切るので安全面を配慮してできるということなのです。ダンボールカッターの使い方を丁寧に教えてあげるんじゃなくて、段ボールという素材とどうかかわるかの方が大事なのです。道具の使い方ではなくて、もっと周辺のことから気を配っていくということが実は大事なんじゃないのかなっていう風に思い、先生たちには伝えているところです。
他にも年長さんになってくると、何がしたいということが子どもたちから出てきます。これは昔の保育と今の保育との違いかどうかは分からないんですけれど、僕はひたすら遊びこんで自分がしたいことをやりこむことが大事なんじゃないかなと思っています。なぜかというと、遊びこんだ子たちは課題を出したらそれに乗ってくるんです。だから僕のような者が関わってくると、子どもたちに課題を出しちゃいけないんじゃないかと、子どもが主体だから子どもを遊ばせるだけだから、何かテーマを出しちゃいけないんじゃないかと言われちゃうんですけど、先生たちにはどんどん課題を出してくださいねと言っています。もちろん前提として遊びまくってからです。なぜかというと、子どもたちが自分に自信を持っているから、僕らの課題なんて「ああ、ぜんせんできるよ!」と乗っかってくるんです。何なら課題を超えるんですよ。
例えば製作キットみたいなものをやると、一斉保育をやっている園でやると、先生の見本通りに作るんです。見本通りに作ることはできるけれどそれで終わり。ですが、おそらくこの園の子たちに完成形を渡すとまあカスタムするでしょう。「もっとこれ使いたい!」といった感じで。だから遊びこんでやりたいことをやると、わがままになるんじゃなくて、大人の想像を超えてくるんですね。それがすごく大事なんじゃないかなと思っています。そうすると、ちょっとしたきっかけで物事が跳ねて、次の展開に向かっていくんじゃないかなと思っています。
あと、1件おもしろかったのが、「たけも」あれ普段使わないですよね。あれも文化ですよね。この辺りは車文化じゃないですか。私ここの園で1度傘袋を出したんですよ。すると、まあ誰も気づかない。都内に住んでいると電車文化でめっちゃ歩くので、傘をめっちゃ使うから傘袋常備なんですよね。おそらく車文化のところは、あんまり傘を使わないじゃないですか。だから子供たちの体験に対して、小山駅に実際に行って体験するっていうのは非常に大事なんじゃないかなと思ってみていました。


まとめ

今年度は国より新たに示されました「公開保育と学校関係者評価を通じた幼児教育の質向上サイクルの推進」についてまずはやってみようということで取り組みました。浮かび上がってきた課題は次の通りです。

  • やみくもに怖がらず、目の前の子どもたちにとってどこまでが安全で何が危ないのかを認識していく。
  • 大人がやってもらいたくないことが子どものやりたいことにつながっている可能性を考え、子どものやってみたいことを考えていく。(それが主体的な関わりになる)
  • 子どもたちの興味や感じたことを保護者の皆様にもお伝えしていく。

成果と課題をふまえ、今後も日々幼児教育の質の向上に努めてまいります。
また、上記に加え、それぞれの発達に応じて安全かつ身体的な活動ができるような園庭の環境の整備も必要ではないかというのが昨今の課題でした。

そこで、現在園庭の環境を見直すべく工事を進めています。完成は4月上旬を予定していますのでお楽しみにお待ちください。