お店やさんごっこ

子どもの主体性をより大切にした形で

11月17日(火)にお店やさんごっこを行いました。

CIMG0470今年度はお金と物のやりとりを楽しむというシンプルな目的からもう一歩進め、子どもたちの主体性をより大切にすることを職員の目標として計画を進めました。

お店は自分が作りたい物を

年中児、年長児約80名でお店の数は10個。中には3人で作り上げたお店もありました。

CIMG0463CIMG0407スーパーマーケット、ハンバーガー屋さん、アクセサリー屋さん、バッグ屋さん、アイスクリーム屋さん…とここまでは例年も出てくるもの。
その他に今年度はお洋服屋さんが登場しました。年少児クラスのお友達や同じ年齢のお友達を対象としたことで、自分たちの着たいお洋服を作り、お店にするという発想が生まれました。お洋服作りを進めていくと、大きい段ボールを見た子が「お洋服を着るところが作りたい!」と試着室を作り始めました。お店やさんごっこ当日もお洋服を試すよう店員さんが促しながらファッションを楽しむ子どもたちの様子が見られました。

年中児のアイス屋さん

年中児のアイス屋さん

アイスの上に

アイスの上に

注文に合わせてトッピング

注文に合わせてトッピング

 

お買い物は50円で全て1つ10円。だけどバッグの中には1つだけの子も。

上記のお店以外にもゲームセンター、スタジオアリス、レストラン、車屋さんがありました。

ゲームセンターは子どもたちが木の実で作った様々なゲームや、夏休みに学童保育の小学生が作っていて楽しそうだったモグラたたきなどをして遊ぶことができます。

CIMG0469CIMG0557アリスは様々な衣装を着て写真を撮ってもらう(ふりをする)ことができます。
レストランではメニューを見て注文を受けてから様々な種類の食べ物を食べる(ふりをする)ことができます。

CIMG0583車屋さんはお金を払うと子どもたちの作った車に乗り、コーンで作った道路を走ることができます。途中に洗車がコーナーやガソリンを入れてくれるところもあります。(余談ですが製作途中に車屋さんではお金じゃなくてカードを「ピ」として払えるようにしたいという子どもの意見がありました。現実社会に即していて子どもたちは大人の行動をよく見ているなと感じました。)

お店やさんごっこでは「物を買う」ということに目がいきがちですが、実際の社会では物を買うことでお金を払うばかりではありません。「サービスを受けることの対価」としてお金を払うこともあります。これも立派なお店ですよね。

サービスにお金を払った子は形として物を受け取ることはできませんので、お家に持ち帰れる物が1つだった子ももちろんいます。「どうして1つしか買ってこなかったの?」と心配される方もいらっしゃったことでしょう。それでも子どもたちは、「これがしたいんだ。」ということにお金を払ったので大満足でした。物だけでなく体験もこれからのお店やさんごっこの醍醐味になりそうです。

配置も相談して決める

CIMG0422園内のホールでお店屋さんごっこを開くことを伝えると、「名前を決めよう!」ということになりました。何でもそろっているところということで、大型ショッピングセンターを思い浮かべた子どもたち。年長児クラスは「たけ組」という名前であることから「たけこ」と決めました。個人商店が減ってきている今、大型スーパーやショッピングセンターが子どもたちにとってリアリティーのあるものなのですね。

子どもたちはお店の配置でもよく考え、相談しました。「スーパーマーケットは食品を売るから入り口の近くがいい!」「食品は入り口の近くにあるもんね。」こんな会話や、「レストランは厨房があるから奥がいい。」という意見が口々に聞こえてきました。ゲームセンターは当初真ん中を希望していましたが、壁がないと遊びづらいことに気付き移動しました。「目立つところがいい」と真ん中を希望した2つのお店は、相談を重ね、双方が目立つようになるような形で決着しました。

お店の間も当初自由に行き来できましたが、そうするとレジでお会計をしてもらえないことに気付いた子どもたち。どうしたらよいか「うーん…。」と悩む子どもたち。先生と一緒に考えていると「椅子で壁を作ったらいいんじゃないかな。」と呟く声に「うん。そうだね。それがいいね。」とみんなが賛同し、お店同士が干渉しないように工夫していました。ゲームセンターは門を付けることでうまくモグラたたきまで誘導しながら商品を手に取ってもらえるように工夫をしていました。

お部屋にいる子どもたち1人1人の発想力は無限大

お店やさんごっこを企画した保育者の「お店屋に呼んでくれた年中さん年長さんにありがとうだね。お客さんとして来てくれた年少さんにもありがとうだね。」という声でお店屋さんごっこはいったん終了しました。でも、これから影響を受けた年少さんがお店屋さんごっこを始めたり、年中さん年長さんが物作りの楽しさやみんなで考えて工夫する新しい遊びを始めたりしていくことでしょう。

保育者が提示して物を作る場合、作品の頂点は保育者が作った見本になりがちです。一方でクラスの一人一人の発想を大切にしていくことで、保育者も考えていなかった活動が生まれます。誰かのアイデアに触発され、また新たなアイデアが生まれます。そうして集団でありながら、個が育っていきます。活動を通して表現力や考える力、そして友達と一緒に作る難しさや楽しさを味わうことができます。川島こども園では、今後もこのような活動が日常的に展開されていくように励んでまいります。